火星における夕焼けは青くなることが知られている。
これは、火星の大気は地球よりも薄く、多くの塵を含んでいるため、
波長の短い青い光よりも波長の長い赤い光の方をよく散乱するからである。
ここでは、ミリカンの油滴実験においてよく用いられるラテックス球を使い、
火星のような青い夕焼けを再現するための教材の開発を行った。
ラテックス液(島津理化、192354)に含まれる
ラテックス球(直径0.80μm)を用いる。
ラテックス液と水をシャーレに入れてよく混ぜ合わせ、
自然乾燥により水分をすべて蒸発させる。
(論文より引用、写真1)
シャーレの底を通して蛍光灯を観察すると透過光は青い夕焼けとして青く見える。
(肉眼ならば写真よりももう少しはっきり青く見える。)
さらに蛍光灯の部分以外では黄色を帯びた赤い散乱光が見える。
(論文より引用、写真2)
散乱する粒子の大きさによって夕焼けが青くなることを示すため、
異なる大きさのラテックス球で同じように作製してみた。
直径0.40μmのラテックス球を含む
ラテックス液(Thermo Fisher Scientific、3400A)
で同様に作製したところ、
透過光は赤みがかり、赤い夕焼けとなった。
(論文より引用、写真3)
寺嶋容明,中村夏海:
火星の青い夕焼けを再現するための教材の開発
物理教育 68(3), 180-183 (2020)